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粉川 広行; 石倉 修一*; 二川 正敏; 日野 竜太郎
実験力学, 2(2), p.122 - 127, 2002/06
MWクラスの中性子散乱施設用水銀ターゲットでは、大強度のパルス陽子ビームが水銀に入射することにより、水銀は急激に発熱して水銀中に圧力波が発生する。圧力波がターゲット容器壁(構造体)に到達すると容器壁に大きな負荷を及ぼすとともに、構造体の変形と液体水銀の連成挙動により水銀が膨張してターゲットビーム窓の近くで負圧(引張)が発生することが解析的に示されている。負圧の発生によりキャビテーション気泡が生じ、気泡崩壊の際のマイクロジェットによりターゲットビーム窓は損傷を受ける可能性がある。そこで、衝撃荷重下での構造体と液体の変形による負圧の発生現象を把握するために、円筒容器に水を満たして衝撃実験を行い、衝撃荷重下での構造体と液体の連成挙動を調べた。試験は、円筒容器の底に模擬ビーム窓を設置し、容器上部から直接水に衝撃を与えて水中に圧力波を発生させた。その際、模擬ビーム窓の厚さ及び衝撃速度を変化させて負圧発生の挙動を調べた。その結果、模擬ビーム窓が薄く、衝撃速度が速いほど、模擬ビーム窓の変形の慣性効果が大きくなるために、模擬ビーム窓近傍で負圧が発生しやすいことを明らかにした。並行して、有限要素法による解析を行い、衝撃荷重下での液体と構造体の連成挙動のモデルを検証した。